2023.05.28 散歩道
廃屋の美
なんて、あるのだかどうだかわからないけれど、こういった建物に出くわすと思わず佇んでしまいます。藁屋根にトタンをかぶせて屋根を長く持たせようとしたもので、50年前の田舎ではよく見られましたが、今はほとんど無くなりました。住人がいなくなって何年になるのでしょうか。眺めているとここで営まれていた暮らしの情景が浮かんできます。今と比べれば格段に少ない材料でこのような民家はつくられていました。貴重な材料を無駄なく大切に使っていたこの頃、惜しげもなく余材を廃棄する現代の家づくりとはずいぶん違いますが、それはユタカサなのでしょうか。土がはがれた壁に現れた竹の小舞が哀れを誘います。やがて柱が朽ちて倒れて、時の経過とともに草木と一体化してゆく潔さ、人生もかくありたいと思ったりします。