山の木は使ってなんぼの世界である。
植えて大きくなっても使われなくてはなんにもならない。
先人が植え、世代をつないできた木は孫の代でやっと使えるまでに育つ。
人知れず山深く静かに大きくなった木は里に送る水を涵養してきた。
やっと日の目をみるときがやってきた。
チェンソーが唸り、いく年月を経た木が伐られていく。
植物としての木のいのちはここで絶たれた。
木はまた新たな場所でいのちを得る。
山深く分け入っていくとチェンソーの音が聞こえてくる。
進むにつれてしだいに大きくなる。
伐られた木が架線で集材されていた。